燻る
シカマルと別れることになった。恋人同士になって、一年目と言う日に。 里が違う。 たったそれだけのことが原因だった。それに、シカマルが「耐えられない」と言い出した。 「結婚しよう、つってるのに、アンタ、なかなかこっちに来て…
シカマルと別れることになった。恋人同士になって、一年目と言う日に。 里が違う。 たったそれだけのことが原因だった。それに、シカマルが「耐えられない」と言い出した。 「結婚しよう、つってるのに、アンタ、なかなかこっちに来て…
黒のオーバーオールは、シカマルのお気に入りだった。上下が繋がっているそれは、一枚着るだけで済む。朝の貴重な時間を無駄に使わずに済ませたい時など特に、持っていてよかった、と息を漏らす。しかし一番気に入っているのは、夜、妻…
私の夫は、忙しい人だ。 風影なんて偉い席について毎日、難しそうな書類とにらめっこをしている。同じ建物にいるはずなのに、私と住んでいる区域に帰ってくることなんてほとんどない。執務室の中ですべてを済ませてしまう。私が「花嫁…
砂色の毛に、濃い緑の目。 それが、最近オレに付きまとうやつの特徴だ。 ***** 「もう腹いっぱいだろ」 嘘だった。実際はポーチの中に仕込んでおいたはずのおやつが切れただけ。それを知ってか知らずか、そいつは目を潤ませて…
旅行で行った石川県に、月うさぎの里なるものがあるのを知ったのは帰り間際のことだった。 予定していた温泉も兼六園も金沢駅も行けたから、だいぶ満足だったのだけれど「滅多に来られないのだし、最後に行き残した場所はないか」と観…
木の葉の里の資料室の一角で、若い男女が同時に「えっ」と声を上げた。二人の手元にある紙がその原因だ。『中忍試験……』と題をとっている汚れた他の資料とは全く違う、上等な髪質だったため、机上でよく目立つ。 「めんどくせーこと…