かみさまの水鏡【おまけ】

テマリの授乳シーンがあります  家族三人で川の字で寝るのは、いつまでだろうか。 シカマルは、向かい側でシカダイを寝かしつけているテマリの顔を薄目で見ながら思っていた。「シカダイ、おやすみなさい、をしたろ?」 だから、早く…

かみさまの水鏡【6/6】

 シカマルは、シカクの言うところの『神様たちが住むトコ』を出ると、テマリが待つ家に帰るまでシカダイを抱いたまま、枝の間を飛び続けた。 疲れているシカダイを連れてこのまま帰りを遅らせるのが嫌だったのもあるが、何よりも絡み合…

かみさまの水鏡【追記】

よくわからないお話だと思うので、追記として、いくつか上がりそうな疑問点にお答えしておこうと思い、ポストすることにしました。以下、主に終盤のネタバレありで色々補足。後半になるにつれて、どうでもいいことに触れています。 Q….

かみさまの水鏡【5/6】

 その場所が近づくと、あれほどいた鹿たちは森の中へと姿を消していった。森を知り尽くしているであろう鹿たちが踏み入れない場所。その場所に神様とやらが住んでいる? シカマルが二十数年ぶりに訪れたその場所は、誰も立ち入らないせ…

かみさまの水鏡【4/6】

「そら、いっち、にー、いっち、にー」「いーにーいーにー」 シカマルの声かけを繰り返しながら歩くシカダイが履いている緑の靴は、泥で茶色に変化している。テマリが、月齢の近い子をもつカルイと一緒に買いに行ったという、このファー…

かみさまの水鏡【3/6】

 生家からの帰り道は、雨が降っていた。 大きめの傘を一本借りて家族三人その下に収まったのだが、シカマルの肩幅とテマリが肩から下げている荷物が幅をとる。「シカダイとアンタが濡れなきゃいいから。荷物が濡れんのもめんどくせーだ…

かみさまの水鏡【2/6】

 奈良一族には、伝え聞かされてきた大事な仕事がある。 鹿たちの住む場所の巡回パトロール、ケガをした鹿の看病、死亡した鹿の処理および死亡原因の特定、鹿苑の運営、鹿の角切りで得た角の研究……。 そして、これらを仕切るのが当主…

かみさまの水鏡【1/6】

「シカダイ、いくぞ。いっち、にー、いっち、にー」 シカマルが声をかけてやると、手を繋いだ先にいるシカダイは、シカマルの声に合わせて一生懸命、土の地面を小さな足で押す。 シカダイが、しっかりと自分の足で一人歩きができるよう…

かみさまの水鏡【0/6】

 今は髭を蓄えているシカマルが、まだよちよる歩きをしていたころ。父であるシカクが息子の手をひいて、一度だけ連れて行った場所がある。 奈良一族の森の最奥にある、手付かずの原生林が残っている区画。枝が連なっている大木には苔が…