奈良家のモテ事情:我が家のモテ事情【完】

「母ちゃん、呉服屋さんが父ちゃんからって」 夕飯時で忙しい時にチャイムが鳴ったから、代わりにシカダイを使いにやらせたら、見慣れた風呂敷を抱えて戻ってきた。何を買ったのかさっぱりわからないが今、包みをあけている時間などない…

奈良家のモテ事情:シカマルの場合

 仕事用に、と与えられた火影邸の個室でシカマルは頭を抱えていた。机の上に置かれているのは里をあげて行うことになった納涼祭のチラシと、いのに押し付けられ浴衣のカタログ。その二つがシカマルの悩みの種となっていた。 チラシの方…

奈良家のモテ事情:テマリの場合

 テマリにとって、木の葉に来て十何回目かの夏がきた。 現役時代に外交で木の葉へよく来ていたとはいえ、嫁ぐとなると勝手が違い、根付いている文化や慣習になじむのにやはり、それなりに時間がかかった。輪廻祭とは何たるか、年末から…

奈良家のモテ事情:シカダイの場合

 誰に似たんだか。 シカダイはそう思いながら、通学カバンの中に入っていた薄い桜色の封筒を持ち上げる。チョウチョウに連れて行かれる雑貨屋で一番人気だとか言う、恋が成就する封筒だ。恋のおまじないなんて言えば可愛らしいものなの…

奈良家のモテ事情:まえがき

 いのじんに引きずられる形で、オレとチョウチョウは修行場への道を足を突き出していた。クソ暑い中の修行なんて、地獄以外なんでもない。こんな日は、さっさと家に帰って、カラカラに乾いた喉に冷たい麦茶を流し込み「なんかちょっとお…