裏返しのTシャツ
「あぁ、もう。シカマルに腹がたつ」 そう。私は布団の中で怒っていた。きっかけは、日常の些細なことの積み重ねがふいに爆発しただけ。「どうして、シャツを裏返しにしたまま洗濯機にいれるんだ」 こうしてほしいと思っていることを口…
「あぁ、もう。シカマルに腹がたつ」 そう。私は布団の中で怒っていた。きっかけは、日常の些細なことの積み重ねがふいに爆発しただけ。「どうして、シャツを裏返しにしたまま洗濯機にいれるんだ」 こうしてほしいと思っていることを口…
「子どもができた」と食堂の席で、シカマルと向き合っているテマリは言った。我愛羅からの書類はこれだ、と火影邸で冷静に報告している時と変わらなかった。シカマルは「そうか」とだけ言うと、味噌汁をすすった。 シカマルはテマリと会…
それは興奮した獣とそっくりだ。吐き出すように激しく胸を揺らして息をする。それは、昼はのんべんだらりと日々を過ごしている男が、夜にしか見せない顔のおまけ。おまけのはずなのだが、この男のそんな姿を見ているときは私もたいてい…
砂からぽてりと落としたゴム毬の行方を、オレは見なかった。理解をしてくれる人がいなくなったことがこんなにも苦しいだなんて思わなかった。オレにまとわりつくものは全てを奪っていった。 しかし過去を精算して振り返ってみれば、そ…
※アニボル58話ネタバレ注意 「結婚しよう」 高い心拍数に、荒い呼吸。 嘘がひとつも混じっていない、きれいな言葉をシカダイはくれた。 「はい」 でも私は汚くて、鼻声で返事をしてしまった。シカダイにちゃんと伝えられた…
※アニボル58話ネタバレ注意 木の葉と砂、中忍試験。 たった二つのキーワードしか繋がりがないのに「テマリ様たちがそうなったから」と、なぜか私たちもそれになぞらえられていて。ただ一緒にいるだけなのに 「将来、あの二人も…
※アニボル58話ネタバレ注意 「バカ」 私の口は言いたいこととは、全く別のこと言う。でも勝手に動くのだから、仕方ないでしょ。 「バカ、バカ」 何回言っても、シカダイは何も言い返してこない。私が悪いってわかってるけど、…
※アニボル58話ネタバレ注意 「送ってあげなさい」 風影様の命令はたまに残酷で、私にそんなことを言う。そもそもこの風影邸から駅まで送っていくような距離もないのに、甥に優しすぎる。 「命令じゃなきゃ、やらないんだから」 …
※アニボル58話ネタバレ注意 街の中は好きじゃない。音が波のように押し寄せて、私を襲ってくる。いだから、いつもは音楽を聞いて躱しているけれど、プレイヤーの替えの電池を買いに行く途中にかぎって、電池は切れる。 なんてツ…
すうと手を伸ばし、大腿部を撫で付けるとテマリは一層高い声を出す。そしてぎゅうとシカマルの頭を抱きしめて、自らの胸をシカマルの顔を押し付ける。重量のあるそれはシカマルの息が詰まるほどだったが、それでも好奇心の方が勝った。…