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「オレは二度手間が嫌いだ」 バキはオレの目から視線を一切動かさずにそう告げると、くるりと体を反転させた。そして、部屋のドアを開けると出て行けとはっきりと行動に表す。 けれど、オレの体はすんなりとは動いてくれない。全身に受…
「オレは二度手間が嫌いだ」 バキはオレの目から視線を一切動かさずにそう告げると、くるりと体を反転させた。そして、部屋のドアを開けると出て行けとはっきりと行動に表す。 けれど、オレの体はすんなりとは動いてくれない。全身に受…
残っていた茶をすすると、バキが安心したように、こわばらせていた顔を緩める。今のところ、向こうの予定通りといったところだ。しかし、冷たく門前払いすれば、すんなりと食い下がると思っているのであれば、それは大きな間違いではあ…
バキが見せる余裕の正体は何者なのか。 確固たる自信であるのだろうが、その自信とは何で、どこからきているのか。 考えれば簡単な話でそもそも、バキはオレと、迎えに来てドアを閉めてやるほど大事にしているテマリを会わせたくない…
「茶はうまいか?」「こんな上手い茶、飲んだことねぇぐらいな」 オレがわざとティーカップに残した、あと一口分の茶をバキは睨みつける。さっさと飲んで、出て行けということなのだろうが、はっきりと口にはしない。苦々しい顔をしてオ…
出された、自分好みではない甘ったるい紅茶をすすりながら、シカマルはソファーに体を食い込ませていた。美術や芸術といったものに疎いシカマルにはホテルの調度品の値はわからないが、名のあるものだということを、絵や家具から放たれ…
招かれざる客だと、自覚はしていた。 だから、それ相応の覚悟をしてきたつもりだが、テマリの「ファミリー」とやらは客としての扱いは最低限してくれる。 カフェに座ってシカマルを睨みつけていた男ーーー『バキ』と自ら名乗った男は…
シカマルは学校帰りに、自らが描き出した地図の場所へと足を運んだ。 都内某所にある、高層ビル。そこは世界にも名を馳せている高級ホテルのうちの一つ、ヒュウガグループが経営しているホテルだ。本家が経営者としてグループの頂点に…
気になる、というよりは気に食わないと言った方が正しい。 黒板に描かれる化学の記号を、まぁまぁの点数が書かれているテストの裏側に書き込みながら、シカマルは考えていた。 期末試験の解説など聞いても聞かなくても同じなのだが、…
「ここまでありがとう。じゃあ」 テマリは後ろ手を振って、去ってしまう。 アンタ、道がわかんねーからオレの手を振りほどかなかったんだろ?なのに、ここから帰れんのか?っつーか、アンタが泊まってるとこ知らねーと、明日、迎えに…
オレとナルトが溜まるクラブは、表通りから裏路地を何本か抜けた先にある。一発では到底覚えられないその道を、嫌におとなしいテマリの手首を掴んだまま歩いていたのだがどう見ても、オレが嫌がるテマリを引いてこれからホテルに行くよ…