尻に敷かれる男0

元ネタ:http://www.sugoren.com/report/1382771022197/

シカテマ前提のシカ←シホです。別名:シホちゃんのシカテマ観察日記になります。
シホちゃん、ごめんね……。


 十七歳で初めて、恋をしました。
 
 『恋愛』という言葉の定義をこれまでの経験に則って考えてみると、ぶっちゃけ、私には必要のないものだと思っていました。恋愛の先にある「子孫を残す」という目的に関心はありませんでしたし、私の遺伝子を残すことに必要も感じられませんでした。
 それに、私の知っている異性……つまり、男性というものが私よりも年上の人ばっかりだったことも要因の一つだと考えています。私は忍術を使うことに自分でもあまり才能を感じられませんが、暗号の解読に秀でた能力を持っていたため、アカデミーに通っていませんでした。そもそも、暗号の解読ばかりしていて、同年代の子と話が合わないのだから、仕方のないことでした。
 そのため、同年代の異性と過ごした期間がほとんどなく、周りにいる大人たちの
 
「結婚は人生の墓場」

という彼らの経験則からくる言葉を信じるしかなかったのです。
 今の部署に配属されてから上司に

「若いんだから、恋の一つでもしてみればいいじゃないか」

と言われましたが、恋愛なんて社会的儀礼を通らなくとも暗号の解読はできますし、そもそも強要すること自体が間違いです。一種のハラスメント行為ですよね。
 だけど、十七歳になってあの方と初めて出会ってから、恋愛を否定することをやめました。
 綱手様の使いとして時たま、この部署にやってきてくれるあの方が、私の考えを改めてくれたのです。

「その考えは違えんじゃねーかな。だって、ここの……」

 面倒くさ気な彼ははっきりと私の意見に対して、反論を申し立てました。私にとって同年代の異性がこのような指摘をしてくれる経験がなかったので、どれほど驚いたことか。
 奈良シカマルさん、という方は見た目によらず頭の回転がとても早い方で、話していて飽きることがない人でした。お話していて楽しい、と思えるまでに時間はあまりかからなかったことを覚えています。恋愛なんてする気はありませんでしたから、見た目を気遣うことなんてなかったのですが、今ではいつ彼が来てもいいように鏡を置いています。
 しかしそんな私を見て、上司は言いました。

「付き合いが長いから言えるが奈良一族の男は軒並み皆、恐妻家だぞ」

 恐妻家。
 手持ちの国語辞書によれば『家庭内で妻が夫よりも優位性を発揮している状態のこと』を指す言葉とのこと。(類)には『尻に敷かれる』なんて言葉もありました。
 そのため、買わなければいけなかったのです。『尻に敷かれがちな男性の9の特徴』と表紙に書かれている、この雑誌を。

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