【R-18】奥様の✕✕がけ

奥様と旦那様シリーズ、久々の更新です。

この小説には以下の成分が含まれます。

※異物挿入
※挿入したものを直に食す

いわゆる、何でも許せる人向けです。


 白いボウルに盛られた赤い粒たちは、今夜のためにテマリが買ってきたものだった。
 シカマルとシカダイは、甘いものがあまり好きではない。シカダイは「あれば少しだけ食べる」というスタンスをとっているが、シカマルの方はケーキを見ただけで「胃もたれがする」などと言うようになってしまった。
 シカマルは若い頃から甘いものを好んで食べるようなことはしていなかったが、年をいくらか重ねるとそれが顕著になってきたように、テマリは感じていた。
 本当は、木の葉の中でも有名なケーキ屋が期間限定で出している輪廻祭用のケーキをホールで買ってきたい。純白のクリームの上に真っ赤な苺が敷き詰められている、豪華なケーキを。
 しかしそれはファミリー向けに作られており、いくら甘いものが好きなテマリでも一人で食べ切ることができる量ではない。嫁ぎたての時分はヨシノと一緒にそれを食べたものだが、ここ数年はシカマルと同じようにヨシノも「胃がね」と言うようになってしまった。
 だから、輪廻祭にケーキを買ってきたりはしない。けれど、ケーキのトッピングに使われている、苺だけは買うようにしていた。少しでも雰囲気だけは味わいたかったのと、甘いものが苦手な夫も息子も、義母も食べられるものだからだ。
「今すぐ、食べて」
 ボウルの中の苺たちはぷっくりと膨らんだ体を、艶やかに魅せながら、テマリに訴えかける。しかし、テマリは半纏から伸びている腕の先で動かしている、編み物からから少しも目線を動かさずに、こたつの中で伸ばしている足をすり合わた。
 あと少しで編み上がる、か?
 編み棒同士が当たるたびにカチャカチャと音をたてる。そして、脇に置いていたカゴの中にある毛球から濃緑の糸をたぐり、長い布を紡いでいく。今年は「巻くのがめんどくせーから、ネックウォーマーがいい」と言っていたシカダイのために、編んでいるものだ。成長期に入ったからか、昨シーズンに編んだばかりの一本のマフラーはもう、寸が心もとない。
 巻くぐらい面倒くさがらずとも良いのに。難しいことでもないし。
 テマリはそう思うのだが雑誌の付録についていた編み図を見て、すぐにネックウォーマーも確かに良いかもしれないと考えを改めた。一本のマフラーにしてしまうよりも、ずっと簡単だったからだ。
 これが終わったら、シカマルにも編んでやろう。ずっと同じものを使ってるし。毛糸は……シカダイと同じのでいいか。
 時刻は、深夜に差し掛かろうとしている。確かにシカダイが使っているマフラーは短いが、母さんが夜なべして……というほど、急いでいるわけではない。なのに、それでもまだテマリが手を動かし続けるのには訳がある。
 それにしてもアイツ、風呂に沈んでないよな?
 日付を越える前に見たシカマルの顔には、疲れの色が濃く出ていた。それに体も冷え切っていたから「輪廻祭用に」と買ってきた苺を食べさせる前に、湯気がむわりとこもっている風呂場へ押し込んだ。
 せっかく木の葉には家族で輪廻祭を過ごす習慣があるのだしそれに、年末は体調を崩している暇などないはずだから休める時にはしっかり休めるようにも、早く帰ってきて欲しい。
 でもそれは家庭に入ったテマリが思うことであり、彼女の中に残したままにしている、現役時代の自分は
「けれどイベントがあるからこそ、忙しくなるのは当たり前だ。平和だと言っても、気が緩んだ時に背後をとられることもある。そのせいで家に帰ってこられないことがあるのは仕方のないことだ」
とも言う。だから、ここ最近の疲労色が強いシカマルに「早く帰ってこい」とは言えなかった。
 シカマルが、こたつに置いていった半纏はいつから持ち主に着てもらっていないか。考えたくもないことだった。視界に映していた、くたくたになった半纏を避けるようにテマリは壁にかかっている時計をちらりと見た。時計はシカマルが風呂に入り始めてから、一時間経ったと示してくれる。冬であることを考慮しても、普段の風呂の時間から考えると、遅すぎる。
 指先をくるくる回して玉留めをし、残りわずかになった毛糸玉から引っ張られている糸を切ると、テマリの手の中には編み上がった濃緑の布が一枚ある。これを、シカダイご所望のネックウォーマーに仕立てあげるのに、時間はかからない。それよりも対処が難しいのは、風呂でシカマルが沈んでいた時だ。
 テマリは脇の籠の中に、編み棒と一緒に布を仕舞ってしまうと、こたつから足を出した。爪先までぽかぽかと温まっている素足で歩くのに、廊下の冷えが気になるが、肝が冷えるよりはいい。
 シカマルの様子を見るために、こたつのある居間から出ようと襖を開いたその時、勝手にそこは開かれる。
「トイレか?」
 湯上りで、火照った顔のシカマルが濡れた髪を垂らしたまま、そこにいる。暑いのか、だらしなく浴衣を着崩して。
「バカ。お前を見に行こうと思ったんだ。何かあったのか?」
 テマリが前を退くと、シカマルは居間の中に体を入れて、後ろ手で襖を閉めてしまう。
「風呂で寝ちまって」
 寝巻き代わりにしている浴衣の裾から伸びる足の先だけをこたつの中に入れて、シカマルは畳の上に両腕をつくと天井に仰ぎ、ふーと肺の中の溜まっているものを吐き出す。
 今日も一日、部下の前では引き締められていたであろう表情筋は一度緩みきってしまうと、シカマルの目をとろりとさせて、眠気を隠そうとしない。うとうととしており、今にも寝てしまいそうだ。
 湯に浸かるのもこたつに入るのも、体の外側から温められる理屈は同じだから、とシカマルは、ここのところ知っている限りでは烏の行水だった。しかし、今日はいつもよりも時間がかかった。だから勝手に「食べるだろう」と思って、シカマルよりも先に出された苺はこたつの熱で苺も温められている。
「じゃあ、もう寝るか。苺、出しっ放しでダメになってるだろうし。大丈夫なやつだけ明日、ジャムか何かにするよ。今年の分も美味かったから、また今度それで食え」
テマリは、シカマルにそう告げてボウルを台所に持って行こうとしたのだが、伸ばしたテマリの手首をシカマルが掴む。
「めんどくせーけどよォ。輪廻祭だしなァ、一応。どれが食える?うまいんだろ?」
「無理するな。眠そうだ」
「苺を食う時間ぐらいは余裕あるっつーの」
 閉じかかっていた目を開いてパチパチと動かす。そして
 だから、お前も早く座れよ。
 シカマルはそう視線で訴える。テマリにしてみれば、輪廻祭よりもシカマル自身の健康を優先してほしいのだが、そんな些細なことで今から喧嘩するのもまた「めんどくせー」である。
テマリが諦めてボウルを置き直すと、要求をのんでもらえたことを理解したシカマルが手を放す。それからテマリはおとなしくシカマルの隣に座りと、こたつに足を入れた。
「食べたら寝ろよ」
天板の上に置いてあった小皿とフォークを寄せて、シカマルの前にセットしてやると
「おう」
シカマルはフォークを取り上げる。そして、鋭いその切っ先をボウルの天辺にある苺に深くまで突き立てると直接、口元に運ぶ。そして、一口でそれを食べてしまうと
「ん。今年もうめぇ」
うれしそうに次の苺へと手を伸ばす。
「よかった」
 テマリは机の上に転がっていた赤いチューブを捕まえて、蓋をあける。ケーキは食べられなかったが、糖分はこれでも十分だと思っているものだ。
「練乳?」
「そうだ。甘いほうが好きなの知ってるだろ?」
 テマリが手にしたのは、真っ赤なチューブ。牛がプリントされている、よく見るものだ。
 ふぅん、とシカマルは納得すると次の苺を刺して、飲み込むように、食べてしまう。しかし、目線はテマリが小皿に広げている白い液体だとは、テマリは気づいていない。
 テマリとしては本当は大皿の上からたっぷりとかけて、苺全体に練乳をまとわせてかぶりつたいのだが、シカマルためを思って別にした。だいたい、自分の分はシカダイとヨシノの三人で過ごした時に食べてしまったから、これはシカマルの付き合いで少し食べるだけだ。だから多少、自分が好きなように食べたい。
 ボウルから一粒だけ失敬してきて、小皿に出した練乳をこってりまとわると、口の中に運ぶ。すると練乳の甘さと苺の酸っぱさが混じり合い、幸せで飽和する。
 一瞬の好きも逃してなるものか、とテマリがもぐもぐと口を動かしている横で、シカマルはじっとテマリを見つめていた。そして、自分も苺をフォークに挿すと、テマリが使った小皿から練乳をすくい上げた。
「それ、私のだぞ。それにお前、甘いものは嫌いだろう?」
 わざわざ別にしたのに、なぜシカマルはそこから持っていったのか。
 テマリは怒りを含みながらきっとシカマルを睨みつけると
「悪ぃ」
 シカマルがフォークに刺さった苺を差し出してきた。
 もう一粒食べていいからこれで許してくれ、そういうことらしい。
 テマリがそれに食いつこうとするとその手前でシカマルがフォークを持っている腕を引いて、わざと食べさせないようにした。その時、苺がまとってきいた練乳が少し、テマリの胸元に垂れた。きっちりと袂を締めていたから、肌にはつかなかったものの生地の上に白い液体が付着している。
「なんなんだ。お前」
「あー……なんでもねぇ。オレがやったし、オレがとるわ」
 シカマルは卓上のティッシュ箱から数枚をとり、袂の隙間に手を差し込むとぽんぽん、優しく生地を叩く。
「お前、どうした? なんか優しいな」
「…『明日の予定は?』」
 わかりやすい、シカマルからの合図だ。どう答えたものか。自分の予定を思い出して、組み立ててみるが可能ではある。けれど、先ほど見たシカマルの目は眠そうだったのが気がかりだ。今日は体があったまっていてよく寝れるだろうから、このまま寝かしてやりたい。
「忙しい」
 テマリがぴしゃりと返事をすると、ぴたんとシカマルの手が止まる。そして、視線を袂に伏せたまま
「どうしてもか?」
テマリにそう尋ねた。
 どうしてもダメ、ということはない。年末が近づくにつれて仕事が日増しに増えていくということは、それだけ夫婦の接触が減るといこと。最後に閨を一緒にしたのは、いつのことだろうか?
 久しぶりのことだしテマリも「明日は……」と言ってやりたいが……。
「ダメだ。明日も仕事だろ? 寝られるうちに寝ておけ。これから忙しくなるんだ。それに、お前、眠かったんじゃないのか?」
「苺の酸味で、目が覚めたんだよ。な、ちょっとだかだから」
 差し込んでいた袂をぎゅっと握って駄々をこねるシカマルに、ふぅーとテマリはため息をつく。どうせテマリが言っても聞かないのだし、期待したくなる自分もいるのも事実だ。シカマルが、テマリの牙城を崩そうと思えば、それが砂で作られた城だというのはすぐにバレてしまうだろう。
「シカダイが起きてくるまで『明日は暇だな』」
 シカマルにそう言ってやると、シカマルはそのままぽすんと練乳が落ちた場所へ顔を埋める。ふんす、ふんすと鼻を鳴らしながら袂を徐々に開こうとするから
「はぁ…!? せめて、上に行ってからにしてくれ。シカダイに見られたら、どうするんだ?」
テマリがシカマルの頭を押し返す。
「電気消したらバレねーだろ。声も……できるだけ、抑えてくれ」
シカマルが、照明から垂れている紐を引っ張った。カチンと途端に目の前は暗くなり室内に、シカマルの鼻息とこたつのヒーターがジジと燃える音がやけに鮮明に聞こえた。いくら忍をしていたと言っても、突然のことに体はついていかない。
 開かれた袂を這う、シカマルの舌の生ぬるさにぞくりと背筋を動かされる。
「おま」
「すぐ終わらせるから、な?」
 シカマルはこたつの中に入っていたテマリの膝の裏に腕を回し、器用にテマリをこたつから出すと足の間に収まってしまう。
「……一回だけだぞ」
「わかった」
シカマルは、テマリの素体を隠す半纏の紐と、浴衣の帯を解いてしまうと、自身の帯も緩めた。暗闇の中であるにもかかわらず、シカマルの目が光っているのが見える。獣のような飢えた目だ。
 たべられてしまう。
 じっと見ていると、そんな気がした。全てをシカマルに飲み込まれてしまう。
 その前に、とテマリはシカマルの肌に直に触れながら抱き寄せた。そうして、ちゅ、ちゅっと軽いキスを重ねる。それからシカマルは首筋、鎖骨へと唇を下らせると、いつも楽しみにしている谷間へとたどり着く。だから、テマリはシカマルの顔を優しく挟んでやった。
 シカマルが好んでいるこの「ふわふわ」で慰めてやれば今日は早く終わるはずだと、テマリは思っていた。しかし早く終わらせたい今日に限って、シカマルはそれを嫌がった。
 テマリがぎゅうと胸でシカマルの顔を挟んでしまう前に、シカマルは顔を上げると、こたつの上にあった何かを手に取り、そしてそれの蓋をパカッと開けた。その音がした時、シカマルの丸い顔がない、テマリの胸の奥がざわつく。
 まさかと思った。この部屋にあるもので、その音がするものは一つしかない。シカマルは間違いなく牛がプリントされている、あのチューブを手にしている。
 シカマルが一切の迷いを見せずに、テマリの豊満な乳房に向かって握りつぶしすと、太く、粘着質な液体が先端からぷぢゅると発射され、膨らみを彩るように、皮膚の上にかかっていく。こたつで温められたせいかぬるま湯ようになっていたおかげで、冷たいとは思わなかったが、それでも何かが異常だとは感じていた。
「シカマル、お前、何を、する気だ?」
「舐める」
 それは、簡素すぎる答えだった。
 けれどテマリには、何がどうなったら、シカマルの頭の中でこんなことになるように結びついたのかさっぱりわからないままであった。
 私は苺でもないし、他の果物でもない。なのに、なぜ?
 シカマルが平気そうにまた胸元に戻ってこようとするのを、テマリは肩を押して、抵抗した。何をされるかは薄々感づいてはいたが、そんなこと、されたことがないから、ひょっとしたらないだろうと楽観視していた。
 しかし、目の前のシカマルは肩にかかったテマリの手をあっさりと押しのけて、微かに揺れる乳房の元へと帰ってくる。そして、自分の言うことを聞かないテマリを黙らせるかのように、首筋に噛み付いた。
 興奮した、シカマルの舌先はテマリよりも熱く、乾いている。ざらざらとしており、シカマルが本当に獣になってしまったのではないだろうか、思うほどだった。だからだろうか、その舌先は、砂漠で水を飲んでいる時のようにテマリの皮膚の上に撒き散らされた、とろりとした液体を掬っていく。
「んッ……あ……」
 重力に従うように、テマリの柔らかな曲線を伝っていく動体はそこに居た痕跡を残してすうと地面に向かって下っていこうとするのだが、それをシカマルが許さない。
 落ちる前に舐めあげて、少しずつ舌に潤いが戻っていく。シカマルの熱でさらにぬくめられた練乳は、むわりとするほど甘ったるい香りを巻き上げながらテマリの鼻孔をくすぐった。
 おかしいことはわかっていた。
 けれど、舐められるたびに下腹部の奥がだんだん温度をあげていき、どうしようもなく、疼く。そうなってこれば、足りない、という淫らな感情が湧き上がってきていた。
 早く、もっと感じる場所を触れてほしいと思った。
 しかし、シカマルは髭が汚れるのも気にせずに丹念に乳房の表面の皮膚を舐めるばかりで、淡桃色の頂きに近づこうとしない。それはそれで気持ちが良いのだが、もっとシカマルはテマリが快感をおぼえる場所を知っている。
「シカマル」
 テマリが切なげに懇願すると、シカマルはぶすっとした顔をしてテマリを見上げる。
「これ、結構おもしれーのに」
 腰をなで回しながら、文句を言う。しかしすぐに、ちゅうといたずらするように頂きを口に含むと、柔らかく歯で挟んできた。
「あぁ!」
 ぎゅっとシカマルの頭を抱きしめると、さらに快感が深く下腹部に貫く。それに応えるかのようにシカマルは、顔に残りの練乳がつくのも気にせず、テマリの谷間に顔を埋め、そして丁寧に揉み込んでいく。
 硬くなった頂きを指先で弄び、胸の中で押しつぶして。シカマルが、テマリの弱点を、与えられたばかりのおもちゃのようにじっくりと、触っていく。
 与えられる快感に、テマリがわなわなと体を震わせていると、シカマルはふいに谷間から顔を上げて足の間に座り込んでじっとしていた。シカマルの腹に手を当てると、肌は冷たくなっていたが芯に熱がこもっていた。
「上、行こう。寒いだろう?」
 けれど寒さよりも、テマリはシカマルの吐く、甘い息を吸いたくて、思わず口付けた。そして、番の獣がそうするように、口の周りについていた練乳をテマリの舌でぬぐってやり、硬い毛が密集している髭にかみついた。
 しかし、シカマルは突然テマリを軽々しく持ち上げるとこたつの天板の上のものを豪快に腕で退けて、恭しくテマリを寝かせる。
 すっかり熱くなった天板が、テマリの背中にぬくもりとなって広がっていく。
 てっきり、このまま最後までここでするのか、とテマリは思った。
 明日にはシカダイも使うこの部屋で?こんな厭らしいことを?
 慌てて肘で起き上がり、立とうとしたその瞬間
「そうじゃない。前閉じて、上行く……ひゃっ?!」
 ぬかるんだ秘部に、何かを埋め込まれる。
「一粒入った」
「おま……なに、きゃッ」
 下からさらに何かが圧迫する。シカマルの指でも、おそらくシカマルの間で膨らみ硬く、反り返っているいるそれよりも細い、小さいもの。この、大きさ的に……?
 体内に侵入してくるそれは、何か、テマリの想像に難くなかった。
「そんなの詰めて、どうするんだ」
 もう少し体を起こせば、シカマルはたった今、自分が撒いた赤い粒を必死に探している。
「わかんねぇ。何粒入んのか気になってさァ」
 畳の上に散らばっていたものをいくつか拾うと、またもう一粒、シカマルは蜜口に先端を当てて、指で押してやる。すると、そこはすんなりと飲み込んでいくが、一方で、意思をもたない粒を吐き出そうとテマリの淫肉は暴れまわる。
「もう一粒ぐらい、いけっか?」
「んぅ!も……無理だから、やめ」
「いや、もう半粒分ぐらいあっか」
 シカマルは机の上に散らばった粒を拾うと、テマリの奥へとぎゅっと詰めていく。中でごろごろと粒が動き回り、最奥ではもうこれ以上入らない、と緩んだ粒が形を変える。
「あ、あ、あッ……!」
 シカマルが粒を押していた指を放すと、中に入っているものがはっきりとわかる。
「うまそう」
 シカマルは傍らに落ちていた練乳のチューブを持ち上げると、また握る。しかし、中身は空に近いようで細い、白の液体を吐き出すだけだ。柔肉の上にもかけると、もう全部出そうになっている粒に向かって、顔を近づける。 
「そんな……食うなッ……」
 テマリが両足を閉じて、シカマルの行動を静止させようとするが力の入らない足では、抵抗にもならない。シカマルを手で捕まえてしまうと、自分の両肩へとテマリの足を載せる。それから、秘部全体を包むように口をあけて、吸い付いた。するとずるりと粒はテマリに体を震わせる快感を与えながら、すんなりとシカマルの口の中に入っていく。
「きゃッ!」
 肘を崩して、背中にまた温もりを感じるとシカマルはテマリの大腿部を撫でながら
「うまい」
そう一言漏らした。
 うまい、じゃないだろう。
 テマリはふーと熱を口から吐き出しながら、夫の奇行に頭を悩ませる。
 食物を挿れて、その上そのまま食べる、なんて普通のシカマルでは考えられない。いや、一般的に考えてもありえない。それに、こういった行為が好きなのであれば、「ふわふわ」のそれのようにどこかで聞いたことがあるはずなのに、それがなかった。いやそれよりも、挿れたものをどうやって取り出す気なのか?
 テマリが呆然と天井を眺めていると、冷えた細長いものが柔肉に当たる。
「んッ」
 声をあげると、それはゆっくりとテマリの蜜壺の中に入っていき、粒を掻き出そうと、ぐにぐにと動き始める。
「まだやるのか?!」
「当たり前だろ。入ってんだし」
 徐々に下りてきている粒をシカマルの指先が掠めると、短く整えられているはずの爪でいじり、出てこさせようと。
「きゃ、あっ、ちょ」
 蜜口を広げて現れたであろうそれを、シカマルはまた吸い付いて食べてしまうと、満足そうに笑う。
 奇妙な光景だ、と思った。
 何が良くて、こんなことをしているのか、さっぱりテマリにはわからない。しかし、シカマルはこれが楽しい。
 結婚しようが、結局自分たちは別個体の生き物であることに変わりはない。だから、考えなんてさっぱり、わからない。
 また指を挿れようとするのを、テマリは起き上がって止める。
「後は勝手に出てくるだろうから、もう今日は止めしよう。ね?」
「もう一粒、出て来そうだから」
 シカマルはどうやらこの奇妙な行為に夢中らしい。ためらいなく、またテマリの中に指を潜入させて探し回る。その指先が、粒が、淫肉を刺激するたびに、テマリは身を震わせる。
「んッ……ふ……あッ!」
 奇妙な行為に興奮しているのがシカマルだけならば自分がシカマルを怒るだけで済むのだが、こうなってしまうと。
「あァ!」
 中でじっくりと温められた三粒目もおいしそうにシカマルは頬張る。その姿に、自分の熱が煽らている。
 もちろん、戸惑いはあった。もっと食べてほしい、と思ってしまったことにも。
 最後の粒を探すために、シカマルが
「さすがにもう出ねぇか」
 じゃあ、とシカマルは腰をあげると濃い染みを作っている下着をずり下げて、ぬらぬらと濡れた、腫れきった自身を取り出す。
「まだ、入ってるんだろ?」
「一粒ぐらいなら問題ねーんじゃねぇかな」
 そして、特に濡れている先端を蜜口に当てると、淫肉を押しのけて熱い楔を打ち込んできた。
「あッ……!」
 ぐちゅりと何かが潰れる感覚が最奥で、した。その瞬間、体内の温度計も壊れてしまったかのように思えるほど、熱が上がっていく。
「シカマッ…あッ!」
 ごつんごつんと奥を突き上げられるたびに、いつもと違う感触がする。抽送を繰り返されると、小さな何か、が散っていく。
 きっと後の処理が面倒であることは間違いないのだが、それよりも青天井になった熱がとどまるところを知らない。伸し掛かってきたシカマルの熱と相まって、全身を駆け巡る熱は、いつもよりも早く、絶頂を連れてくる。
「イく…イッちゃ…」
 自分でも言ったかどうかわからない。そんな小声で言ったにもかかわらず、シカマルはぎゅうとテマリを抱きしめた。
 その瞬間、楔を受け入れていた淫肉は小刻みに痙攣し、同時にシカマルと同じ体温のものが中で小さな粒と混じり合った。

*****

「いってきます」
「いってくる」
「はい、いってらっしゃい」
 テマリは玄関から二人の背を見送ると、居間の中に入っていった。
 布団のなくなったこたつは、役割を果たせないせいかどこか淋しげでじっとそこに座り続けている。布団はまだ、洗濯機の中で回っているところだ。
 昨夜のことを思い出すと今でも、どうかしていたのではないかと入り口から今を眺めながらテマリは思う。シカマルが子どものように甘えるのはいつものことだとしても、まさかあんなことをするなんて。
 輪廻祭だったからか?
 よくはわからない。それが苺が原因だったのか、練乳が元になっていたのか、それとも?知るのはシカマル限りだ。
 ストーブを点火して、空っぽのこたつの中に足をいれると卓上のカゴから、一枚の布を取り出す。今日中にシカダイのネックウォーマーは完成させてしまって、それからどうするか。
 テマリは布の端に同じ色の毛糸を手で通していく。それから糸の先端を結んでネックウォーマーを広げるとふと思いついた。
 この形なら、シカマルが喜ぶか?
 テマリは編み図を開いて大きめに段数を書き直すと、迷わずに真新しい毛玉に手をつけた。砂では使うことがなかったけれど、木の葉では使うものらしい。
 体を冷やさないにはこれが一番だ、とヨシノが言っていたもの。
「忘れないうちに書いておこう。は、ら、ま、き、と」
 効果のほどはよく知らないが、ヨシノが言うのであれば大丈夫だ。
 テマリは糸を引き出すと、編み棒の先端に巻きつけた。

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