尻に敷かれる男6

 サクラさんといのさん。
 お二人と知り合ったのは、些細なことがきっかけです。火影様から(何をおっしゃられたかわかりませんが、とにかく何かを)聞かされた彼女たちがわざわざ暗号部まで来て「昼食を中庭で」と誘ってくれたのでした。それまでは、暗号部の部屋で昼食を摂っていたのですが、彼女たちに誘われてからは一人でも中庭に行くことにするほど、それは楽しい時間を過ごしました。

 サクラさんといのさんにお会いする機会になかなか恵まれませんでしたが、やっと一緒に昼食をとることができるようになった日。
 私は先ほど訪れた、シカマルさんの父親であるシカクさんの発言を思い出しながら、前にくノ一が座っていたテーブルに座っているとお二人が、ちょうどシカマルさんの話をしながらやってきました。
 いのさんが

「シカマル、一昨日は甘栗甘に開店と同時にテマリさんと入っていったんでしょ?」

そうサクラさんに言うと、サクラさんは新たに情報を付け足します。

「昨日は最近できたスイーツの店に行ったって聞いたわよ。あの二人、本当目立つのよね。あっ、シホさん~!」

 サクラさんが手を振ってこちらに合図を送ってくれますから、私も手を振り返すとにこにこしながらお二人は私の前に座り、持ってきた弁当の包みを開きました。彩りあふれる弁当をそして

「ねぇ、シホさんもシカマルとテマリさんをどこかで見なかった?」

私に尋ねます。正直に答えようかと思ったのですが、逆に『テマリ』というキーワードが出た今しか聞くチャンスはないと考えました。

「テマリさんってどなたでしょう?」

 質問に対して質問で返すことは行儀が悪いと知りつつも、聞いてみるとお二人は「えぇ!」と意外そうな声をあげます。それから

「テマリさんを知らない?!中忍試験の話とかも?!」
「『あの』シカマルが相当いれこんでるのも?!」

口々に、シカマルさんとテマリさんが浅はかならぬ関係であることを教えてくれました。けれど、そこに恋があるかどうかが明言されないので

「あの、シカマルさんとテマリさんって?」

私が聞くと、二人同時にため息をついて

「本人たちは付き合ってないって言うんだけどねー」
「どう見ても付き合ってるとしか思えないのよね」
「シカマルが、後ちょっとってところで押しが弱いのよ!!夕飯が定食屋って何?!私たちが気を利かせてオシャレなとことか教えてあげたのに!!」
「『あの人がいいって言うから』じゃないわよね。女の子の気持ちがあんなにわからないのもいる?」

ひとしきりシカマルさんの話すると、やっと、弁当の中身を口にいれました。

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