翌日、シカマルが軽快な足取りで執務室へ向かうと、上機嫌なナルトが書類に判を押していた。そして、シカマルが入室したのを見ると、その手を止めてシカマルの方へと顔を上げる。
満面の笑みで。
「なぁ、シカマル。『たわわチャレンジ』って知ってるかってばよ?」
にやりとナルトは笑い、すっきりした表情を見せた。
それを見て、シカマルはピンとくる。あの番組からチャレンジに挑戦したのはテマリだけではない、と。
「知ってる」
シカマルは簡潔に返した。話をしたいのはおおいにわかるが、積まれている書類の山を見るとそうも言っていられない。
持ち上げて、部屋を出ていこうとするとシカマルの背に
「あれ、アリだな」
ナルトが意味深につぶやく。
「わかる」
シカマルは、それも短く返す。
ナルトとわかりあうには、それだけで十分だ。向こうがどう楽しんだがはシカマルの知るところではないが、お互い楽しんだということだ。
書類の山を揺らしながらシカマルは執務室を出ると、本格的に執務に入る前にポケットの中をスマートフォンを見ようと決心する。
「消せ」とテマリは言っていたが、そのまま保存してある『たわわチャレンジ』の画像を見れば、この書類の山もすぐに崩すことができる、と踏んでいるからだ。
データではなく、実物に早く会いたい。柔らかさに包まれたい。
そう思うだけで、ペンを動かす手は早くなるだろう。
良い燃料を手に入れたものだ、とシカマルは思っていた。しかし、それは三日後『たまたま』スマートフォンを見た、テマリに消されるまでの甘いひと時であることを、今のシカマルは知らない。