の続きです。
童貞マル×処女マリになりました。
あと、めちゃくちゃどうでもいいですが、ずっと0.02を、0.002と打ち間違えては消す作業をずっとやってました。
ったく、めんどくせー!
ある日、シカマルは木の葉の里の薬局の片隅で、かがみ込んでいた。買うか買わまいか迷っているのは0.02mmの薄い膜。性的な接触を行う場合、望まぬ事態を避けるために着用せねばならないもの。
こんなに種類があるって聞いてねーぞ?
色とりどりのパッケージが並ぶ棚の前にもう一度立って、見回すがどれを買えば良いのかさっぱりわからない。
初めてが『だせー結果』にしないため、テマリが輿入れしてくる前に、装着の練習を準備しておこうと軽率にシカマルは思って薬局に来たのだが、買う物について同期にも先輩にも聞くにも聞けず、何も情報を持たずに来てみれば、予想以上の種類の多さに圧倒されるだけだった。
けれど、ここにじっと立っているのもおかしな光景であることは承知していた。初めてそういった行為に及ぶ、というのが外野から見てありありとわかってしまうことも。だから、男ならば、さっと取って行くべきだとプライドが言っている。
シカマルは表向きに置かれているパッケージをいくつか見て、売上NO.1とシールの貼られたものを手に取ると、急ぎ早にレジへと向かった。
*****
新居に置かれたベッドサイドテーブルの中には、シカマルがあれから何度か薬局に足繁く通い、様々なものの中で一番着用感が気に入ったものがしまい込んである。
薄いもの、厚いもの、ぬめりが強いもの、いくつか試した中で一番しっくりきたのは、最初に買った0.02mmだった。伊達に、派手なシールは嘘ではなかった、ということだ。
今、シカマルは、まだ固さがあるマットレスに寝転びながら、テマリが風呂から上がってくるのを待っている。
体から火照りが消えないのは、風呂にはいったからというわけではない。これから起こることに、期待しているのだ。
鉄の国で『添い寝』をしてから、同じようなことは何度も繰り返した。
ある時は木の葉のシカマルの自室で、ある時は砂にある来客用の客室で、ある時は国境近くにある誰の目も触れない宿で。そうやって、繰り返しているうちに、直前のところまではもう、何度も辿り着いた。一度、戯れている最中に、偶然テマリの服の下に広がる柔肌に触れてしまってから。
だから、シカマルは実はもう知っている。普段は隠している、手からはみ出るほどの乳房も、肉付きの良い尻を。耳元で囁かれると背筋を震わせるだとか、大腿部に舌を這わせると頼りない声をあげるだとかいったことも。それに、下の口の粘膜の締め付け具合も、そこから溢れる液体の味すらも。
越えぬ、と誓った0cmの距離はとっくに超えてしまっている。もちろん結婚を許可をしてくれた人たちに、多少の罪悪感はあった。しかし、その罪悪感は逆に行為に火を付けた。どこまでならば『婚前交渉』にならないのか、シカマルもテマリも興味があったからだ。
正直に言うと、男の性かそのまま最後の行為にまで押し通したくは、もちろんなった。けれど、枠組みをギリギリ超えないようにしていたのはお互い、直前になると家族の言葉を思い出して腰がひけてしまっていたからだが。ーーー式が終わってしまえばもう気にする必要もない。
こっからリードしなきゃいけねーのに、緊張して、だせー。
途中までは実地訓練も積んだ。後は、本番を迎えるだけなのだが、シカマルの思考がまとまらない。あの、うねる穴の中にそそり立つものを挿れてしまった時、自分がどうなってしまうのか、テマリとの距離が15m32cmどころかマイナスになっても、それは不確かなまま。
シカマルはごろんと寝返りを打ち、全く関係のない、将棋のことでも考えようと努めた。目の前に広がる白いシーツに将棋盤を浮かべ、テマリと指した棋譜を思い出す。そして「あの時指した、あの手は本当に最善の手だったのか?」と自分自身に問いかけた。
一手目は7六歩、二手目は8四歩。三手目が7八金だっけか。で……。
指を動かしながら、駒を移動させていると段々と頭が平静を取り戻す。ここはシカマルがつい先日まで住んでいた家の縁側で、シカクと使い古した盤の向こうにいるのは、まだ使者だった頃のテマリ。こんな関係になるとは知らない、まだ少女の名残を残した顔で、盤を見つめている。
オレが勝ったのは覚えてっけど、途中やばかったんだよな。
パチンパチン、と頭の中で駒で盤を叩く音だけを響かせる。
シカマルが考え込み始めたのは、中盤の四十八手目だ。指を止めて、じっくりと「最短の手で勝つにはどうしたものか」と思案していると、ぎしりと現実のベットが沈みこみ、駒が盤から飛び上がる。
慌ててシカマルが顔をあげれば、そこにはまだ髪の毛の湿気ているテマリが大人になった顔で覗き込んでいる。
「ここでも将棋か?」
表情はよく見えなかった。しかし、髪を伝って落ちる雫が光を受けて、浴衣の袂の下にある膨らみに向かって、ぽとりと落ちていくのは見えた。雫はつうと白い丘を下り、雫は深い谷間へと消えていく。
今すぐ、欲しい。
堪らなくなって、シカマルは返事もせずにテマリの腕を引いた。それから自分の胸の中に閉じ込めてしまうと、頭を押さえて何度も唇を重ね合わせる。
最初はちゅっちゅとリップだけで優しく、けれどだんだんと口内に舌を侵入させて、激しく。
突然のことにもかかわらず、テマリはシカマルの舌に自らの舌を難なく絡めて来てくれる。にゅるり、とシカマルの口内に入ってきたテマリの舌を堪能していると、押さえつけていた手が緩んだ。しかし、それでもテマリはシカマルを求める。
「んッ……はぅ……ふぅん……」
テマリが流し込んでくるものは、唾液だけではない。全身に広がるテマリの体温が、シカマルの中の欲に点火させた。体の芯が熱くなり、それは特に下半身に影響を与える。
まだ少し距離縮めただけだ。
それなのに、シカマルのモノはパンツの中で漲り始めていく。
これはこれでいい。でも、だ。
シカマルはまだ唇に張り付いているテマリの腰を掴み、硬さを持ち始めたものを当て「次へいきたい」と主張をすると、やっとテマリは口内から舌を抜いた。顔を上げて、シカマルを見下ろし
「変態」
と侮蔑するが、熱り立つ表情には恐ろしさは感じない。
シカマルはテマリの腰を掴んだまま体の向きを変えると、テマリに覆いかぶさり、膨らみを隠してしまっている袂を広げた。
眼前に晒け出された膨らみの上には、控えめな桃色の突起が添えられており、硬くなっているのは瞭然だった。シカマルがそれに噛み付くと、テマリの口から
「あッ」
軽い呻きが漏れる。大きな膨らみを揉みしだきながら、口の中のものを舌でつんつんとついてやったり、少しきつめに噛めば呻きは大きくなる。
表面を覆う肌が、汗でしっとりとしてきたころに離してやると、潤む瞳でテマリは訴えかけてくる。
もっと、触って。
シカマルはテマリの太ももに手をかけることで返事をして、ゆっくりと内ももを撫で上げながら、まだ浴衣で隠れている下着へと手を伸ばした。クラッチ越しに割れ目をなぞれば、ぐじゅりとぬかるむ。そこは受け入れる準備が、できている。ならば。
腰に引っかかっているゴムに手をかけるとテマリは腰を浮かす。手早く、邪魔な布を取っ払ってしまえば、薄い毛で覆われた秘所が顔を出す。
こちらに意識をさせると、いつもテマリは身を固くする。それが経験不足からくるものなのか、恥ずかしさからくるものなのかシカマルにはわかりかねるものだった。しかし、それはどうだっていい。
ようは、ここに意識を向けさせなければいいだけの話である。
まだ咥えていない方の、乳房の先の桃色に吸い付くと
「ああッ」
テマリは色香を隠そうともしない。弄びながら、シカマルはぬめぬめとしている場所へ手を伸ばすと毛をかき分けて、源泉を探り当てた。十分に濡れている。しかし、挿入するには湿気が足りない。
親指で上部についている皮の被った豆をいじってやると、奥からぬめりが漏出する。それを指にまとわせるように、丹念に入り口をなぞり、受け入れられるかどうかを確かめると、シカマルはゆっくりと生温かい泉の中へと指を沈めていった。
「はあッ…あぁ!」
指を沈め切ったはいいものの、テマリのそこは一本入ったところでもまだ、キツイ。絡みつく襞をおとなしくさせるために撫でつけ、吐き出そうと動く肉壁を押し返すマッサージを何度も何度も繰り返した。
が、ここで問題が発生する。
このままテマリの中を柔らかくほぐしてやれば挿入することはできるだろう。しかし、その頃合いを、シカマルは測りかねていた。おおよそ、自分のモノの太さと同じだけ指が入れば入るのかもしれないが……。
それって指、何本分だ?
自分のモノに自信があるわけではないが、最低、指が二本分の太さはあったはずだ。膨張率だって体調によって違うから、明確な本数など知るわけもない。かといって、まさかこんな土壇場でパンツを脱ぎ、一人で確認するわけにもいかない。
二本目の指を入れ込み、じっくりと広げながら考えていると、テマリが突然、ぽんぽんとシカマルの肩を叩き、一言告げた。
「……きて」
顔を赤く染め上げ、体を震わせている姿にシカマルは我慢ならなくなり、着ていたものをすべて脱ぎ去ると、ベッドサイドへと手をかけた。
子どもは欲しくないわけではない。しかし初夜から欲しがるという気には、なれなかった。今はまだ二人だけでいい。いつか、できたら……。
箱の中から一つ取り出すと、歯でピリッと袋を破く。試行錯誤した結果、それが最善の手だった。
袋の中から0.02mmしかない膜を取り出すと、練習通りに、パンパンに張り詰めているものへと、きっちりと被せる。そして、改めてテマリの方へと向かい合うと、テマリも中途半端に脱がされた浴衣を脱ぎ、シカマルと同じように裸体を晒し、ベッドの上に座っていた。
「……緊張してきた」
シカマルが率直に本心を晒すとテマリも「私もだ」と笑う。
恥ずかしい格好のはずだ。しかし、テマリは体のどこも隠さない。15m32cmも距離があったあの頃は、巨大扇子で姿を隠したこともあるのに。
あの時は、扇子の向こうのこの人をどうやって捕まえたんだっけ?……あぁ。そういえば。
「気持ちよく……は無理かもしんねーけど、善処はする、から」
シカマルはテマリの影をなぞり、今度は腕で実体を捕まえる。今は、忍術など使わなくても、15m32cmの隔たりをこえて、こうやって肌を触れ合わせることができる。
テマリの発熱しているを抱き寄せて、背中をなぞると「あぁ」とテマリの声と一緒に出てきた息が肩に当たり、テマリが今、ここにいることをはっきりと、シカマルに認識させた。
いつから好きになったかなんて、もうわかんねーし、この人が言いださなきゃ多分、気づかなかったことなんだろうけどよォ。オレは多分、ずっとこの人がよかったんだ。
シカマルは抱いているテマリを下敷きに、ベッドに転ぶと湿潤としている下の口に、膜で覆われた先端をあてた。すると、テマリが
「期待、してるぞ」
シカマルの首を捉えて、顔の距離を0cmに縮めた。
シカマルはその距離を保ったまま、溢れ出しているぬめりをべっとりと自身の先端になすりつけらと、ゆっくりと穴の中に埋め込んでいく。
今まてまは指越しに感じていた柔らかさが、自身を包み、今度は0.02mmの壁すらも鬱陶しいと感じた。が、それでよかった。
気ぃ抜くと、すぐ出ちまうッ……!
思っていたよりも、シカマルを簡単に受け入れていくそこは、すんなり根元まで入ることを許した。
「痛くねーか?」
「……だい、じょうぶ……!」
言葉では平気を装っているが、テマリの反応は苦しそうだった。体のラインをなぞれば、ほぐしたはずの体もかたくなっているのがわかる。だから、
「しばらくこのままでいようぜ」
シカマルは締め付けを自身全体で感じながら提案する。それは自分のためでもあったが、目の縁から涙を零すテマリを見ていると、到底動く気にはなれなかった。
眼下のテマリをあやしながら、シカマルは語りかける。
「15m32cm、アンタ覚えてっか?」
「懐かしいな。中忍試験の時のお前が、影を伸ばせる限界の長さだ」
「そう。その距離の先で、アンタはオレのこと殺す気満々だった。マジであの時は死ぬかと思った……なのに、今やコレだぜ?」
「確かに。私もお前と結婚することになるとは思わなかった。それに、こんなことになるなんて」
この状況に驚いているのは、テマリもなのだ。シカマルと同じで、まだこの状況を夢見心地に感じているのも。
テマリは、自分の上にのしかかっているシカマルの広い背中を優しく撫で回した。その肩甲骨や背骨に沿わせる手使いは、15m32cm先では到底、知ることができなかったことだ。
「人生って難しいわ。何が起きんのかさっぱり、わかんねー」
「何をいまさら」
表情筋を緩めたテマリが、シカマルの毛先をあそぶ。その指先が首筋に掠めると、背筋が震えた。
「くすぐってぇだろ」
わざと耳元で囁く、とテマリの体がぴくんと跳ねる。今度はテマリの弱点を全て把握している。それをどう使うかも。
次、ギブアップすんのはどっちだ?
音を上げたのはテマリだった。シカマルの首に腕を回して縋り付くと
「その……大丈夫だから」
そう言ってら微かに腰を揺らし出す。意図してやっていることか、中に入っているものをきゅっと飲み込んで。
テマリの体はさっきよりも弛緩している。だから、頃合いなのだとシカマルは気づくと
「動くぞ」
おもむろに腰を打ちつける。きゅっきゅと縮れるそこを自身の肉塊で、広げるように細かく動かすと、肉塊を捉えた襞は、なかなか離してくれない。むしろ、今すぐにでも精を吐きださせようとする。
はぁ、と熱情が息になって洩れた。
「シカマル、もっと」
「……わかった」
正直に言うと、今すぐにでも艶かしく誘うこの中にいや、膜の中に溜まっている熱を放出したかった。
しかし、そうしなかったのはシカマルの中にある男の部分が許さなかったからだ。
尻に力をいれて、絡みつくものを振り払うように大きく腰を動かすと半ばでテマリが
「あんッ!」
そこが良いと教えてくれる。シカマルはそこを先端で重点に突き始めると、奥から溢れ出すぬかるみがさらに増す。
「あッ!やだ!そこ、やだ!」
がつんがつんと責め立てれば、ぬかるみで先端が滑り、シカマルにも刺激を与える。
「ここがッ……イイんだろ……?!」
息も絶え絶えに言うと、揺れ動くテマリの腰を捕まえて、教えてくれた弱点を何度も、何度も擦る。その方法は誰からも教授されていない。体の感覚がそうさせた。
中できゅっと締めつけられるたびに、射精感が煽られてシカマルはだんだんと我慢できなくなる。しかし、それはテマリも同じなようで。
口では嫌だ嫌だとは言いつつも、絶頂が近づいているのか締める力が一層強くなっていく。そして
「ダメッ……!イッ……!」
テマリは一段と力強くシカマルを締め付けると、一気に緩めた。その加減の落差に
「ぅぐッ」
シカマルはついに、膜に向かって下半身に溜まっていたものを、先端から迸らせた。
*****
シカマルが白い液体の入った風船を縛っていると、だるそうに身を横たえているテマリは興味深そうにじっとその様子を眺めていた。
「なんだよ」
表面についている赤いものを隠すようにティッシュに包んで、ゴミ箱に投げてしまうとテマリが
「なくてもいいのに」
たしかにそう言った。
「えっ」
シカマルは聞き返すとテマリはきょとんとした顔で
「子ども、欲しくないのか?」
はっきりと問いかける。まだ、先のことだと思っていたのは自分だけのようだった。
「いやほら、オレたち、曲がりなりにも新婚だし。まだしばらく、二人でいいんじゃねーか?」
シカマルがしどろもどろに、避妊具を着けた理由を説明すると
「ふぅん」
テマリは意味ありげに、にやにやと笑う。その笑みの理由など、聞かなくてもわかった。シカマルは、鉄の国での自分の恥ずかしい過去を思い出し、はーっとため息をつく。
「……さすがに、自分の子どもには焼かねーよ」
もちを。
せっかく距離が詰まったのだ。独占したいのは山々だが、その距離が詰まった証を無下にする気などない。
シカマルは、テマリに擦り寄って一つだけ軽いキスを落とすと
「アンタがいいなら、いいぜ?」
テマリに聞き返す。するとテマリは
「とりあえず、今のところは旦那に従っておくよ」
ぐいと首を引き寄せて、シカマルの喉元にぐりぐりと頭をこすりつける。
旦那。
籍でも結ばれていることを実感するには十分な言葉だった。シカマルはテマリの髪に顔を埋めると思う。
ここから先の距離はどうやって測ればいい?
数値はもう、アテにならないからだ。