「あー……手を貸そうか?」
「助かる。ちょっと待て」
その尻に向かってオレが話しかけると、ガサンと茂みが揺らして中からテマリが這い出てくる。そして、オレの顔を見るやいなや、大きな目をパチパチさせて顔を強張らせる。
「……シカマル?」
「何してたんだ?」
テマリが開けた茂みの穴の前に座り込んで、内側を探ろうとすると
「いい。お前の手は借りない」
テマリは背をくるりと向けてオレを拒絶する。しかしオレがそこで見つけたものについて触れると途端に態度を変える。中に居たのは、目やにを大量に蓄えた子猫だった。
「あぁ、子猫か。アンタの猫か?」
「いや、違うが。怪我もしてるみたいだから、治療してやろうと思っただけだ」
「あのバキとかいうオッサンが許すわけねーだろ。アンタさえよかったら、ウチで引き受けるけど」
「本当か?」
逃げようとする子猫を捕まえ出せば、生意気にもフーッと威嚇をする。どこかの誰かにそっくりだ。