残っていた茶をすすると、バキが安心したように、こわばらせていた顔を緩める。今のところ、向こうの予定通りといったところだ。しかし、冷たく門前払いすれば、すんなりと食い下がると思っているのであれば、それは大きな間違いではあるが。
「茶、ありがとうな」
机の上に置きっぱなしになっていたソーサーの上にカップを戻し、オレは沈んでいたソファーから立ち上がる。
「もう一度言う。オレは忙しい」
だから二度と来るな、とまでは言わなかったが、そういうことだ。クソガキの相手をする暇などない、と。
「そうだな。サテンで気ぃ張ってずっと座ってるのも、しんどそうだ。今度は何か手土産を持ってくるよ」
オレがもう一度ここに来ることを示唆した瞬間、バキは眼光を鋭くさせる。人を殺すことに、迷いのない目。その冷たい視線に、思わずオレも身が硬直する。多少なりとも、こういった目には慣れていると思っていたはずだが、バキのそれは他とは全く違う。