出された、自分好みではない甘ったるい紅茶をすすりながら、シカマルはソファーに体を食い込ませていた。美術や芸術といったものに疎いシカマルにはホテルの調度品の値はわからないが、名のあるものだということを、絵や家具から放たれる雰囲気から感じ取っていた。都内の進学校の生徒が、制服を着たままここにいるべき場所ではないことも。
しかし、テマリとまた会うためにはここに制服を着たまま来なければならなかった。私服の中でも上等なものを探せば相応のものはあるだろうが、こちらの身分が明らかでないことが嫌がられる。
ここまでテマリに執着するのはおかしい、とも自分ではわかっていた。何が気になっているかとは、はっきりとシカマルにもわからない。しかし、思い当たることはあった。あのクラブには元々、外国人がいない。それに加えて、この国を楽しんでいないかのような顔。
憂いを帯びた美女、というものが年頃の心に訴えかけてくるものがあった。