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 シカマルは学校帰りに、自らが描き出した地図の場所へと足を運んだ。
 都内某所にある、高層ビル。そこは世界にも名を馳せている高級ホテルのうちの一つ、ヒュウガグループが経営しているホテルだ。本家が経営者としてグループの頂点に君臨しているが、分家に産まれたものは木の葉組に入り、影からこの国を支えていると聞いている。

 しっかし、めんどくせーな。

 ホテルの中央玄関にある自動ドアのガラス越しに覗くと、いたって普通のホテルと変わりないように見える。しかし、ロビーに併設されているカフェの客の中の一人に見覚えがある人物がいた。新聞を読みながらコーヒーを飲み、他の客の中に混じっているように見えるが時たま辺りを見渡す視線は、冷徹そのものでただの客ではないことがわかる。ふいに、その人物は正面玄関で佇んでいるシカマルに視線を合わせると

「早く帰れ」

 目で物を言う。まるでそこにいたことがわかっていたかのように。

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