気になる、というよりは気に食わないと言った方が正しい。
黒板に描かれる化学の記号を、まぁまぁの点数が書かれているテストの裏側に書き込みながら、シカマルは考えていた。
期末試験の解説など聞いても聞かなくても同じなのだが、ぼーっとしているとそれはそれで生真面目な教師の反感を買い、面倒なことになる。
Cがどうだとか。Naがどうだとか。
そんなこと、どうでもよかった。
昨夜、テマリはかぼちゃの馬車なんて可愛らしいものではない、黒のマジェスタに乗って帰っていった。そして、その光景をただただ、シカマルは見送るしかなかった。満足に言葉を交わすこともないまま。
男として最低な見送りだった。
それが、こびりついて離れない。
車の進行方向はあの通りをタワーに向かった方だろ?で、自来也様ンとこの客人ってことはそこそこ良いとこのはず。
気づけば化学式ではなく、頭の中で描いていた地図を広い空白に書き込んでいた。