茶色の木の実がたくさん成る木。その根元に掘った穴が、テマリの家だった。
テマリは暗い穴の中で、地面に置いていた麻袋をかき分ける。ぱんぱんに膨らんだ麻袋は、テマリがフレンズを捕まえなくともお腹いっぱいになれるまんじゅうがたくさん、詰まっている。
そして、ぽっかりと奥の方まで伸びているくぼみを探し当てた。
「おーい」
くぼみに声をかえてみると「なんだー?」と遠くから声が返ってくる。この向こうには、テマリの友達が住んでいた。
「カンクロウ、いるか?」
「ちょっと待つじゃん。すぐそっち行くから」
もぞもぞと土の中で布が擦れる音が響き、一匹のオスが寝ぼけた顔を出した。
「昼間に呼ぶなっつたろ……オレ、寝てんだから」
「別にいいだろ。ちょっと早起きしたぐらいで死にはしない」
「モグラにはモグラの生活リズムっつーのがあるじゃん!」
カンクロウは、テマリの住処の床にに顔をのせるとしぱしぱ瞬きをする。そして、用件があるのならさっさと言え、と。
「カンクロウ、あのな。……今日は、シカマルというやつと仲良くなったんだ」
「へぇ、よかったなぁ」
「それで、今度また会うことになったんだが、どうやって接したらいいと思う?」
「また追いかけたのか」
「うっ……」
産まれた時から一緒にいるカンクロウには、すべてお見通しのようであった。そもそも、こうやってテマリがいつも報告するのも、原因であった。
そわそわして落ち着かないテマリを、カンクロウはじっと見つめて口角を上げる。
「絶対追いかけないのが、まず第一だろ? それから……」
先ほどまで眠たそうにしていたとは思えないほど、カンクロウははっきりと話し始める。
テマリが長年連れ添ってきたカンクロウに相談をする理由は、なんだかんだ言っても、カンクロウが真摯に相談にのってくれるから、であった。