次に、シカダイが目を覚ましたのは昼頃だった。
「いい加減にしな!」
部屋の前で仁王立ちしているであろうテマリの怒声で、目を開く。
テマリに、部屋に入ってほしくないことを告げたその日から、テマリはこうやって起こすようになったのだが、起き抜けの怒声はなかなかの恐怖感があり、いくら深い眠りに落ちていても条件反射するように起きるようになっていた。
そうとう、怒ってるなぁ。母ちゃん。まー、当たり前か。
漠然と考えながら体を起こし、ベッドの上に座り込むと、今朝のことは夢だったのだろうか、と髪ひもが解けてボサボサになった頭ををなおしながら、思った。シカダイにとって悪夢のようなものだったから、そうであってほしいと希望を持ちたかった。特に、腰抜けのようなオチが。
時間を見るために、ふいに机の上に目をやると、乱雑に置かれているブーケはくしゃくしゃで、朝の出来事が夢ではなく、現実だったことを伝えてくる。
気分悪ぃ。なんであんなことしちまったんだ。
髪ひもでぎゅうと髪を縛った後にシカダイは舌打ちをしてからベットからぬけ出すと、ブーケを端目に、階下で待っているであろうテマリの元へ重い足取りで向う。ぐしゃぐしゃになったものを渡そうなんて気は、さらさらない。恥の上塗りになるだけだ。
のろのろ歩きながら洗面所にはいるシカダイを見つけると、テマリは厳しい言葉を投げかけてきた。
「おそようさま。休みだからって寝すぎるのもいい加減にしな!!夜遅くまでゲームしてたんなら、取り上げるよ」
「そんなんじゃねーよ」
子心親知らず。
テマリの小言にシカダイはそう名付けると、もう一度、口のなかに歯ブラシを突っ込んだ。そして、今度は太く、冷たい水で豪快にバシャバシャと洗うと、やっと食卓につくことができた。
シカダイの席の前には、まだ何も配膳されてなかったが、シカダイが椅子に座ると、朝食の残りであろうよく冷えたグリーンサラダや、温め直されたわかめの味噌汁、それから焼き鮭らが手際よく目の前に並んでいく。
最後にテマリは箸をシカダイの前に置くと
「さっきまで、おばあちゃん来てたのに、顔も見せずに。何回も起こしたのに」
文句を言いながらテマリも同じ食卓につく。シカダイの前で大きいマグカップに入った、甘い匂いがする茶をごくりごくりと飲み込んでいく。
「いただきます。母ちゃんの分は?」
箸を取り上げて、シカダイが尋ねると「もう済ませた」と簡単な返事をする。論点をずらして怒りを誤魔化そうとしたが、そんな小手先の技はテマリに通用しない。
「明日から、父ちゃんと同じ時間に起きなかったら、起きなかった時間分、組手の時間を増やすからね」
課せられたペナルティにシカダイは、いつもより重たく感じる箸をなんとか動かしながら、さっぱりしたドレッシングの風味を口に広げる。やっと、食事にありつくことができることを喜ぶ方が、今は優先だ。
テマリずるっと茶を飲み含んで
「これから任務に行かなきゃいけないからね」
シカダイに告げる。
「任務?」
熱い味噌汁をすすりながら、シカダイが聞き返した。そういえば、朝にシカマルがテマリに任務の話をしていた。
「ああ。シカダイも一緒に行くんだから、早くごはん済ませちゃいな」
テマリがコトン、とマグカップを机に置いた。中の茶はもう半分ほどなくなっている。
「げぇ!オレも行かないといけないのかよ!」
シカダイがめんどくせーと言いながら、白ごはんをかきこむと、テマリは涼しい顔でシカダイに言う。
「当たり前だよ。風影様のお迎えに行かなくちゃならないからね」
え?風影?ってことは、カンクロウおじちゃんと我愛羅のおじちゃんが来る?マジかよ。
焼き鮭にかぶりつきながら、シカダイは頭の中で、今の状況を繋げていく。
今日は母ちゃんの誕生日。それに祭。そんで、おじちゃん達がわざわざ木の葉にくる。
……父ちゃん、何か謀ったのか?
そう思いながら、中に残ってるものを流すために、味噌汁を口に含むと、もぐもぐと口を動かして、飲み込んだ。
*****
シカダイが慌ただしく昼食を取り終えるとすぐに、玄関へと向かわされた。まだ涼しさが残っている玄関でサンダルを履きながら考えたのは、父のことだった。
父ちゃん、浴衣と簪だけじゃなくておじちゃん達までもかよ。
あまりに都合良く、様々なことが同時に起きすぎていて、シカマルの関与を疑わざるをえない。しかし、これほどわかりやすくする必要はあったのだろうか。
何やら準備をしているテマリを待つ間にシカダイは、実は父ちゃんは母ちゃんを怒らせていてそのことを謝罪するためにこんなに豪勢なプレゼントを用意したんだ説と、本当に様々な事象が重なっているだけ説の二つに絞り込んだ。
やっぱり、なんかして怒られなきゃこんなに、色々準備したりしねーだろ。父ちゃん、何したんだ?
縁側で、太陽の光を浴びながらだる気に座り込んでいるシカマルの背中を思い出して、原因になりそうなものを考えるが、何も思いつかない。
大方のトラブルの原因になりそうな飲み会に行っても「オレは酒は、弱ぇから」とシカダイが起きているほどの早めの時間に切り上げて帰ってくるから、ありがちな、浮気がどうとかいった問題はなさそうだ。
また、最近、夕飯時に「メシはウチで家族と食うもんだよなァ」とテマリに軽く晩酌をしてもらいながら噛みしめるように言っていたから、家にいづらい理由もないのだろう。
たまにある休みの日だって、家事をしているテマリの邪魔にならないように書斎に篭っているか、森に鹿を見に行くか、自分の相手をしてくれるか、のどれかしか、しない。
じゃあ、後はなんだ?なんだかんだ、あんまり家にいないことか?でも、それって今さらじゃね?
シカダイが考えこんでいるとその隣に、今から近所に買い物に行くような格好をしたテマリが座り、ヒールのついたサンダルを履く。
その格好は、任務にしては軽装すぎる。
「あれ?母ちゃん、扇子は?任務なんだろ」
修行の時にたいてい担いでいる、巨大扇子がないことを指摘すると
「これでも一応、上忍だからね。必要な忍具を口寄せるぐらいわけないさ」
いたって明瞭な答えが返ってくる。
今は修行ぐらいでしか、テマリが巨大扇子を持っているところを見ることはない。日常生活のなかで風遁を使うことはないし、他里で育ったせいか任務にもあまり赴くことはない。
が、それでも、自分にはまだまだ及ばない遠い領域の人間なのだと、一緒に修行をすると思わされる。前線を退いて随分たっているはずなのに、組手でまだ一本もテマリからとることが、できていないからだ。
そして、それに、とテマリは前の言葉を続けると
「里の中で扇子を振り回したら、父ちゃんがしばらく帰ってこれなくなる」
金具をしめながら、母ちゃんは苦笑いをする。
確かに、ミライが受けていた荒々しい風遁の修行を思い出すと、テマリが里の中、特に店が密集しているところで扇子をふるとどうなるのかが、容易く想像がつく。
里のすべてが風遁でなぎ倒された光景をシカダイが想像していると、
「さぁ、行くよ」
テマリが脇から取り出した風呂敷を持って、立ち上がる。そして、シカダイも立ち上がるのを見てからテマリは一緒に玄関を出ると、
「あうん門から火影邸まで、風影様とその護衛を案内すり重要な任務だからな」
声を弾ませて言う。
そういえば、おじちゃんたちに最後に会ったのはいつだったっけ?カンクロウおじちゃんとはよくメールしてるけど、我愛羅のおじちゃんは……。
実物よりも、新聞や教科書でよく見る我愛羅の顔を脳裏に浮かべる。
きっちり分けられた緋髪に、額に浮かぶ『愛』の字、濃い隈に囲まれた母よりも薄い瞳色、それに一文字から動かない唇。見た目は思い出せるが、どんな声色だったかすぐには出てこないほど、シカダイは我愛羅と会っていなかった。
カンクロウおじちゃんはゲームの話できっけど、我愛羅のおじちゃんとは何話すっかなぁ。
むせ返りそうな湿気で包まれた、家からそう遠くないあうん門までの道を、シカダイはテマリと歩き始めた。
*****
シカダイとテマリが、人でごった返している案内所で待ち人を待っていると、あうん門の向こうから二人組の男が、周囲の人を散らしながら歩いてくるのが見えてきた。
臙脂色が特徴的な無愛想な男の隣にいる、全身黒ずくめで派手な化粧をした男が、あうん門の近くにシカダイとテマリがいるのを見つけると、大きく手を振ってきた。
カンクロウおじちゃんだ。めんどくせー。
反応するかどうか、シカダイが迷っていると
「シカダイ、カンクロウおじちゃんだよ」
テマリに背中に小突かれる。しかし、シカダイはあまり目立つことはしたくない。祭りの日とあって、人の行き来も激しいし、そもそも普段からこんなところで大声出す人なんていない。チョウチョウが押し付けてくる少女漫画のように、この門で別れを惜しむカップルなんて、今時いないのだ。けれどテマリの命令は絶対だ。仕方なしにシカダイが手を振り返すと
「久しぶりじゃん!」
まだ遠くにいるのに、カンクロウが大声をはりあげた。すると、なんだなんだと大人たちはシカダイも含めて、想像通り、興味深そうに眺めてくる。あうん門でこんなに大声を出す人がいるのは珍しいのだ。
やっぱり、めんどくせー!
とは思いつつも、友人一同から筆不精と名高いシカダイが、小まめにメールのやりとりはする程度にはカンクロウのことが好きだったから、にかっと笑ってくれる表情を見せてくれるのは素直に嬉しい。
「久しぶりー」
ずんずんと近づいてくる二人組の男に案内所の近くから声をかけると
「すぐ処理してもらうじゃん!」
カンクロウが、はしゃいで言う。我愛羅を目を閉じて、こくりと首をふるだけで何かを喋ろうとしない。
カンクロウと我愛羅は案内所に行き、そして建物の中にいる中忍の男達に、カンクロウが懐から取り出した書類を見せると、通行証をもらわずにそのままシカダイのところまでやってくる。
「二人とも久しぶりだな。護衛はカンクロウだけか?」
テマリが聞くと、我愛羅が答えるより先にカンクロウが笑って答える。
「そもそも我愛羅に護衛なんていらねーじゃん」
実際に戦っているところを見たことがないシカダイでも、我愛羅がかなり腕のたつ忍だということは知っている。アカデミーの歴史の授業で先の大戦での我愛羅の功績について教わったからというのもあるが、小さい頃から我愛羅がまるで自分の手足のように砂を操っている様を見ていたから、相当応用の効かせた忍術を開発しているのではないかと気づくのは、針に糸を通すよりも簡単だ。
しかし、だ。
「そんなことないだろう。大事な風影じゃないか。後進は護衛につけられないほど弱いのか?」
ぴしゃりとテマリが切り捨てる。いくら強いと言えど、組織図で言えば里の中のトップにくる我愛羅に護衛がいないというのもおかしな話だ。強いからこそ、ここぞという時まできちんと力を保守するのは戦術ゲームでは定石だからだ。
けれど我愛羅は
「オレが断ったんだ。会談もあるしな。あまり人が多いと面倒だ」
平然と即答する。それを聞いてテマリは
「まぁ、我愛羅が言うなら……」
と、すぐに痰飲をさげた時、この話は終わりだろうとシカダイは思った。このまま里の中心部にある火影邸にいくのだろうとも。
しかし、テマリに切り捨てられたことに納得がいかない様子のカンクロウが、食ってかかる。
「いっつもテマリはそうじゃん」
「は?何の話だ?」
テマリは不機嫌を隠さない上に、さらにカンクロウをギロッと睨みつけると、カンクロウは少し後ずさりをする。
えぇ!!カンクロウおじちゃん、風影の護衛だろ!!がんばれよ!!母ちゃん、パンピーだろ?1
シカダイに応援が通じたかどうかわからないが、カンクロウは続けて口を開く。
「我愛羅の言うことは信じるのに、オレの言うことなんて信じねーだろ」
「お前、信じられるようなことしたことあるか?書類ミスは減ったんだろうな?」
テマリにすぐに返されたことに心当たりがあるのか、ぐぬぬとカンクロウは唸る。しかし、すぐに
「テマリだって……」
とシカダイが聞いたこともないような過去のことをほじくり返して反論する。それはテマリ煽るには十分で、すぐに二人は年甲斐もなく、言い合いを始めた。
カンクロウおじちゃんが絡むとムキになるんだよなぁ。母ちゃんも。
シカダイが呆れて、子どものように口喧嘩をしている大人たちを見ていると、気づかぬうちに隣に立っていた我愛羅が
「元気だったか?また背が伸びたように感じるが」
さらりと言う。
マジかよ!!動いたことすら気づかなかったぞ!!
我愛羅の、忍としての練度の高さを思わぬところで知ったシカダイは
「ッ?!げ、元気だったぜ。春の身長測定で、去年より十三センチ伸びてた」
ドギマギしつつ答えると、「そうか」とつぶやいて我愛羅は満足そうに首をコクッと動かした。
カンクロウはおしゃべりな上に話の内容がおもしろく、何時間話していても飽きないのだが、我愛羅は口数が少なく、五分もすれば話に困るような相手だ。それは我愛羅が表情に富んでいるわけでもないので、今の話がおもしろかったかどうかわからないせいもあるだろう。
実際にシカダイも何を話したら良いかわからず、黙りこくってしまったのだが、その無言すらも許してくれるような雰囲気をしている我愛羅に意外と、心地よさを感じていた。
喋らなくても良いって、楽だな。
そう思いながら、シカダイは我愛羅と黙ったまま、
「カンクロウは三歳までおねしょしてたじゃないか」
「テマリは二歳まで指を吸って寝てたじゃん」
小さいのころにまで遡って、未だに喧嘩を続けているテマリとカンクロウをしばらく見ていた。
けれど
「傀儡が『変なメイクはやめてくれー』って泣いてるよ」
「扇子だって『乱暴に扱うのはやめてくれー』って言ってるじゃん」
二人の話の内容がただのこじつけ合いになったところで我愛羅が
「そろそろ、ナルトのところに案内して欲しいんだが」
と申し出る。すると、その言葉に反応したテマリが
「そうだね。じゃあ、行くか」
ころっと表情を変えて、我愛羅元へ走り寄る。カンクロウはまだ「テマリ、まだ終わってないじゃん!」とわめいていたが、テマリは我愛羅と「元気だったかい?」「姉さんこそ」と穏やかに話しながら先頭を歩き始め、意外にも我愛羅もカンクロウを無視してしまう。
シカダイも遅れないように、先ほどとは打って変わって和やかな雰囲気をまとったテマリの後ろに着いていく。その場にカンクロウを残して。
シカダイにも相手にされないことに気づいたカンクロウは、急いでシカダイの隣に立つとテマリと同じように、さっきまでの剣幕など知らぬといった顔でシカダイに
「シカダイ、メールで言ってたゲームはどうなったじゃん?」
ゲームの話をふってきた。
カンクロウが言っているのは、最近、新しく出た横スクロール型のゲームのことだ。通常面の攻略自体はボルトの妹であるひまわりでも簡単にできるものなのだが隠し面が多くて、なかなかコンプリートにならないと話題になっているのだ。
その情報を、シカダイとカンクロウは交換し合っていた。シカダイが
「あー。カンクロウおじちゃんが教えてくれた、シホリンさんの攻略サイトを参考にしてんだけど、全然だな。難易度の前に、母ちゃんの目が厳しくて」
そう答えると
「まぁ、子どものうちはゲームより大事なことが多いからな。修行、ちゃんとやるじゃん」
と言って、うんうんと頷く。同じようなことを、母であり、姉であるテマリもよく、シカダイに言う。ゲームも良いが、修行もちゃんとやれと。
喧嘩すんのは、似た者同士だからなんだな。
シカダイがそう思いながら、カンクロウのゲームの進み具合を聞くと
「オレも忙しくてあんまし、手はつけれてねーかな。二面の裏面見れてねーし」
「えっ?!二面って裏面あったっけ?!」
全く知らなかった情報に、うっかりと大声が飛び出た。
「あるある。ちょっとわかりにくいとこにあんだよな。ええとなぁ……」
中央のセーブポイントの旗を過ぎてから三つ過ぎた土管の中に……とカンクロウが教えてくれることを頭に叩き込みながら、シカダイも、実は、裏ボスに通じるルートが三面の背景にある小さな絵画に……と話し始めると、お互い、止まらなくなる。
カンクロウが見つけた、ゲームの色が反転してホラーゲームのようになってしまうバグの話を聞いて、シカダイが腹を抱えて笑っていると、もう火影邸の正面玄関の前まで来ていることに気づいた。あうん門からそう遠くないから、すぐに着いてしまう。
火影邸の前で、二言三言ほど我愛羅がテマリに何かを伝えると、テマリはうんうんと首を縦にふって了承する。その様子を見た我愛羅は、それ以上は何も言わず「それじゃ」と腕をあげて、カンクロウを待たずに火影邸の中に入ろうとする。
もうお別れかぁ。
シカダイが残念に思っていると、「ちょっと待った」とテマリが静止をかける。そして、テマリが家からここまでずっと持っていた風呂敷を、我愛羅に渡した。
「今から長くなるんだろう?簡単につまめるものを用意しておいたから。休憩の時にでも食え」
「ありがとう。姉さん。この軽さ……揚げ菓子か?」
「あぁ、チュロスというらしい。カルイに教えてもらったんだ。なに、パンみたいなものだ」
「ほぉ」
我愛羅は素直にテマリから、奈良一族の家紋で埋め尽くされている風呂敷を受け取ると、興味深そうに包みを眺めていた。二人のやりとりが終わったと判断したのであろう、カンクロウはシカダイの背中をポンと叩くと
「じゃあ、シカダイ。また後で会おうじゃん!」
そう言って、我愛羅の隣に立つ。しかし、シカダイには「また」の意味が理解できなかった。
また後で?どういうことだ?
「え?またおじちゃんと会えんの?」
素直にたずねると、とカンクロウは困惑した顔で
「えっ。花火大会の時、またこっちに来るんじゃねーの?」
シカダイに聞き返す。
戸惑っている二人の会話を聞いたテマリが
「あぁ。まだシカダイには話してなかったんだ。
今日の花火はおじちゃんたちと一緒に見るんだ。チョウチョウやいのじんたちも一緒だよ。父ちゃんが『我愛羅が来るなら、どうせなら同期も呼んで一緒に見よう』って言ってくれてね。……シカダイは、『めんどくせー』から家にいるか?」
「……行くよ」
謀ったな、母ちゃん。
シカダイはじろりと勝ち誇ったような顔をしているテマリを見つめた。