※アニボル58話ネタバレ注意
「結婚しよう」
高い心拍数に、荒い呼吸。
嘘がひとつも混じっていない、きれいな言葉をシカダイはくれた。
「はい」
でも私は汚くて、鼻声で返事をしてしまった。シカダイにちゃんと伝えられたかどうかもわからないような、小さな声で。それでもシカダイは聞いていてくれて。
「あー、よかった。断られたらどうしようかと思った」
指輪と、それと四つ折にされたハンカチを手渡してくれた。
「どうしたって言うのよ」
シワ一つないアイロンがけなんて、今から練習しても間に合わない。
「どうだってするに決まってんだろ」
真面目な顔して、物騒なことを言って。でもその言葉がうれしくて、涙が止まらない。
「泣くなよ」
泣くに決まってるじゃない。もう増えないと思ってた大事な人が、また、一人増えるんだから。
(お題:確かに恋だった様 http://have-a.chew.jp/)