※アニボル58話ネタバレ注意
街の中は好きじゃない。音が波のように押し寄せて、私を襲ってくる。いだから、いつもは音楽を聞いて躱しているけれど、プレイヤーの替えの電池を買いに行く途中にかぎって、電池は切れる。
なんてツイてないんだろう。こういうものは大事な時にかぎって、役に立たたない。
イヤフォンをつけていても耳に入りこんでくる、大勢の心拍数、呼吸、会話、衣擦れの音。様々な周波数に内耳を揺さぶれていると、視界もグラグラと動いてくる。
こんな他里で倒れてるわけにもいかないのに。
あと少しで地面とぶつかりそうになった時、誰かに腕を強くひかれた。倒れなかっただけ、マシなのかもしれない。
「おい、お前どうしたんだよ」
強く残る、敗北の記憶を持つ声。これなら、倒れた方が良かった。
「うるさいわね」
「顔色悪ぃな、こっち来いよ」
来いよなんて、そんな言葉遣いやめてよ。偉そうな態度が気に食わないんだから。
(お題:確かに恋だった様 http://have-a.chew.jp/)